2012年01月18日

競合他社への転職禁止無効の判決が…


 優秀な人材とノウハウの流出防止を目的に、外資系生命保険会社が執行役員との間で取り交わした「退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない」とする契約条項の有効性が争われた訴訟の判決で、東京地裁は13日、「職業選択の自由を不当に害し、公序良俗に反して無効」との判断を示した。

 原告側弁護士によると、外資系企業では保険業界に限らず同種条項を交わすケースが多い
             
                                     -2012年1月13日 共同通信社- 

 社員が同業他社に転職したり同業で起業するようになると、どうしても企業の持っている有用な情報やノウハウが外部の同業者に流出することとなり、企業が損害を受ける場合も少なくありません。

 こういった事態を避けるため、退職後一定期間、同業他社への転職や同業での自営を禁止する、いわゆる「競業避止義務」を就業規則に盛り込む会社は少なくありません。

 ただし、「競業避止義務」については、就業規則に定められているからといって、無制限に競業への就職禁止がまかりとおるわけではありません。

 今までの判例を見ても

  @特約(競業避止義務規定)も無しで競業を禁止することはできない

  A仮に競業禁止義務規定を就業規則に設けていたとしても、その内容は必要最小限の範囲で、競業禁止義務を労働者に課す合理的理由がなければ、その条項は無効

  B労働者に競業避止義務を課すことができるかどうかは
   ・競業制限期間や場所的範囲
   ・代償の有無
   等を、「労働者側」「企業側」「社会的利害」の3つの総合的に判断する。

 なお、今回の記事の例のように、競業避止規定に違反した場合の退職金の減額措置を盛り込んでいる規定も多くありますが、この場合も、原則的には会社に対する顕著な背信性がある場合れるとされ、
   ・労働者の地位や在職中に関わった企業秘密の内容・程度
   ・競業禁止期間や場所、職種の範囲
   ・代償措置の有無
 により判断されます。

 今回の記事の例では、転職先は同業であっても、原告(労働者)自身は異なる業務に携わっていた たため、

   ・元の会社に実害が生じたとは認められない」
   ・転職先が同じ業務を行っているというだけで転職自体を禁じるのは制限として広すぎる
   ・禁止期間も相当ではない


として、退職金の全額支払い命令が出されました。


人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所


 
posted by チコ at 19:07 | TrackBack(0) | 退職・解雇・異動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月11日

平成23年4月〜6月の労働者災害補償保険審査官決定事案例

 厚生労働省では、平成23年4月〜6月の、労働者災害補償保険審査官決定事案の主な事例を発表しました。

 労働者災害補償保険法(労災保険法)では、労災保険の給付に関する決定に不服がある場合、まず、「労働者災害補償保険審査官」に対して審査請求を行い、その決定についても不服がある場合は、「労働者災害補償保険審査会」に対して再審査請求を行うこととなります。

 今回の発表資料には、労災保険給付に関する労働基準監督署の決定に不服があった方が審査請求を行い、それに対して労働者災害補償保険審査官がどのような決定を下したか、その事例が掲載されています。

 →平成23年度4月〜6月の労働者災害補償保険審査官決定事案一覧

 この中の、「業務上・外」の請求棄却事例をみると、精神疾患に関する事例が多数掲載されていますが、それだけ、精神疾患の労災申請が増加しているということなのでしょうね…。
 
 なお、精神疾患の業務上・外認定については、厚生労働省では「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」を設けているため、審査官が審査する場合も、判断指針に照らし合わせて判断を行います。

 
人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所
posted by チコ at 18:13 | TrackBack(0) | 労災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

職場のいじめ・嫌がらせの定義、典型例等

 平成23年10月6日に開催された、厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の第2回目の会議で、職場のいじめ・嫌がらせに関する定義や典型例(たたき台)、裁判例などが資料として提出されました。

厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」第2回 資料

 職場のいじめや嫌がらせは、被害者の心に大きな傷を残します。

 また、会社自体も、状況によっては使用者責任を問われる場合もありますし、仮にそこまでの事態に発展しなかったとしても、職場の雰囲気の悪化により労働意欲が損なわれる等、様々な実害が発生します。

 とはいえ、どのようなケースを「いじめ・嫌がらせ」に該当すると判断し、会社として対処していくべきなのか、手探りの会社も多いかと思います。

 今回の資料は、「何をしたら「いじめ・嫌がらせ」になるのか」、「どのようなケースで会社の使用者責任を問われるのか」について考える際の参考になります。

 なお、この厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」は、第5回まで開催予定なので、最終的には、典型例等も精査されたものが出来上がるのではないかと思います。


人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所
posted by チコ at 17:33 | TrackBack(0) | セクハラ・パワハラ等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月02日

技能実習生の労働条件確保のための監督指導及び送検の状況

 平成22年に実施された外国人技能実習生の労働条件確保のための監督指導・送検状況について、9月1日、厚生労働省より発表されました。

 これによると、

  ・違反率(監督実施事業所のうち違反していた事業所数)は過去5年間で最高

 ・外国人技能実習生から労働基準関係法令違反の是正を求めて労働基準監督機関になされた申告
  件数は、過去5年間で最低


とのことです。

 平成22年の技能実習実施機関に対する監督指導は、法改正後の7月以後を中心に行われたとのことですが、やはり依然として問題は残っているようです。

 
 厚生労働省→最近における外国人技能実習生の労働条件確保のための監督指導及び送検の状況


人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所
posted by チコ at 17:11 | TrackBack(0) | 外国人雇用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月27日

雇用促進税制の創設

税制改正により、6月30日に雇用促進税制が創設・拡充されました。


 雇用促進税制とは、従業員を、1年間で10%以上かつ年5人以上(中小企業は2人以上)増やす等、一定の要件を満たした事業主の場合、従業員の増加1人当たり20万円の税額控除が受けられる制度です。

 ここでいう「年間」とは、各会社の事業年度単位(個人事業主の場合は1月1日〜12月31日になるとなります。

 この制度を利用する場合、まず、事業年度開始後2カ月以内に、目標の雇用増加数等を記載した「雇用促進計画」を作成し、ハローワークへ提出することとなっています。
(例えば事業年度が4月1日〜3月31日の会社の場合、来年の4月1日から2ヶ月以内に雇用促進計画を提出)
 
 更に、事業年度終了後には「雇用促進計画」の達成状況の確認をハローワークから受け、確認を受けた「雇用促進計画」の写しを確定申告時に添付して、税額控除を受けることとなります。

 
 詳細は…雇用促進税制(厚生労働省)


人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所
 

posted by チコ at 19:09 | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月24日

セクハラによる精神疾患の労災認定基準見直しへ

 6月23日、厚生労働省は、セクハラが原因の精神疾患の労災認定基準を見直す方針を固めました。

 従来、精神疾患の労災認定基準において、セクハラは、事案の度合いに関わらず「ストレス強度2」に統一されていました。
 一応、従来も「特別の事情があれば労働基準監督書の判断により「ストレス強度3」にしても良い」とはなっていたのですが、何を「特別の事情」とするのかは明記されていなかったため、実際に「3」に修正された例は少なかったようです。

 今回の見直しでは、「3」に修正する事例を具体的に挙げているので、今までよりは労災認定されやすくなるかもしれません。

 なお、ストレス強度「2」が原因の精神疾患では労災認定はされません。

 今回、「3」の該当事例を見てみると、

  ・強姦や本人の意思を抑圧してのわいせつ行為
  ・胸や腰などへの身体接触を含むセクハラが継続
  ・身体接触を含むセクハラで、継続していないが会社に相談しても対応・改善されなかったり、会社へ相談後、職場の人間関係が悪化した

…等が挙げられていますが、逆に、ここまでの状況であっても労災認定されなかったのかと思うと、衝撃を受けます。

 ちなみに、左遷や退職強要は従来から「3」認定されていますが、「左遷より強姦される方がストレスは小さい」なんて、本気で考えていたのでしょうか?

 セクハラは、問題が発覚するまでに時間が係る場合も多いですし、今回の見直しでもまだまだ不十分な点もあるかと思いますが、とりあえず一つ前進ですね。

 参考→精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会 第5回「セクシュアルハラスメント事案に係る分科会」


人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所
posted by チコ at 17:03 | TrackBack(0) | セクハラ・パワハラ等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月10日

平成22年度の個別労働紛争解決制度の施行状況

 少し古い話になりますが、5月25日に厚生労働省から「平成22年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が発表されました。

 最近は、雇用関係の多様化等もあり、会社と労働者との間で、労働関係等に関する様々な争いごとが起こることが増えてています。

 厚生労働省では、こうした、会社と労働者との間で個々に発生している「個別労働紛争」を解決する制度として

 ・総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談対応

 ・労働局長による助言・指導

 ・紛争調整委員会によるあっせん

を設けています。

 総合労働相談コーナーは、労働基準監督署内にももうけられていることもあり、なんといっても無料ですから、ある意味、労働問題に関する相談の多くが集中する場所であるともいえます。


 今回の報道発表を見ると、

 @相談・指導助言受付件数昨年度と同水準で高止まりする一方、あっせん申請受理件数は減少
 
 A相談内容は『いじめ・嫌がらせ』が増加し、紛争内容は多様化(解雇に関する相談は減少)

 B制度利用者の内訳は、正社員が減り、非正規労働者が増加

というのが主な傾向として挙げられています。

 
 あっせん申請受理件数が減っているのは、労働問題の内容ももちろん関係あるとは思いますが、「労働審判」が世間に浸透してきているのも一員ではないかと思います。

 また、「紛争内容の多様化」というのも、労働者の権利意識が、ますます高まってきている証拠なのではないでしょうか。

 
 私も会社から相談を受けることも多いですが、問題が「解雇」となると、会社側も慎重にことを運ぼうとする反面、「労働条件の低下」については、「業績が下がっているんだから仕方ない」と、一方的な判断を行う会社も少なくありません。

 繰り返しになりますが、労働者の権利意識はますます高まっています。

「「就職難」だから、多少の不利益は労働者側も我慢するだろう」…このような理屈は全く通じないのです。

 会社側も、今一度、会社の人事・労務について、おざなりになっている点がないかチェックすべきではないかと思います。

 ■平成22年度個別労働紛争解決制度施行状況(厚生労働省発表)


人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所



 
posted by チコ at 16:46 | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月03日

被災地域の労働・社会保険料免除

東日本大震災の被災事業所は、以下による労働・社会保険料等の免除措置があります。

■被災地域の事業所は、最長1年間、社会保険料や労働保険料、子ども手当の事業主拠出金が免除される場合があります。
※概ね半数以上の被保険者に賃金を支払えていないなど、賃金の支払に著しい支障が生じている事業所が対象となります。 


■被災地域の事業所で、賃金の支払に著しい変動が生じた場合、その月からの社会保険の標準報酬月額を改定できます。
 ※賃金を支払えていないか、2等級以上変動した場合などが対象


詳細は…
 
 ■社会保険料の特例措置について(日本年金機構)
  https://krs.bz/roumu/c?c=3559&m=9673&v=7ecad097
 
 ■要件及び手続き方法(日本年金機構)
  https://krs.bz/roumu/c?c=3560&m=9673&v=180f3f5d

 ※医療保険の特例措置については、共済組合、健保組合に加入している場合はそちらの窓口にご確認ください。

 ■労働保険料の特例措置について
   https://krs.bz/roumu/c?c=3561&m=9673&v=992a5a7a

 
人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所


posted by チコ at 18:00 | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月19日

東日本大震災の企業向け情報



東日本大震災関連の、雇用・労働関係について、厚生労働省がHPで公表しています。

東日本大震災関連情報>雇用・労働関係>企業・法人向け

 この中に、労働基準法Q&Aの第2版も発表されています。

 第2版には派遣労働者の雇用管理や解雇、採用内定者への対応、1年単位の変形労働時間制に関する記載があります。

 また、中小企業庁では今回の大震災に係る「中小企業向け支援策ガイドブック」を作成しています。

 こちらには、資金繰り(融資・信用保証等)についての支援策も掲載されています。



人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所




 
posted by チコ at 18:23 | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月27日

東北地方太平洋沖地震に関する労働局の対応について

東北地方太平洋沖地震に関する対応が労働局から発表されています。

東京労働局→東北地方太平洋沖地震への対応に係るお知らせ

 こちらには、労災認定等の労災保険に関するQ&A労働基準法に関するQ&A(第1版)失業給付の特例措置雇用調整助成金の対象になる等のお知らせが掲載されています。

人事・労務に関するご相談はmail to
チコ労務管理事務所



posted by チコ at 00:22 | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする